その時になったら考える

「先のことを考えると不安になる」
当たり前のことだ。
だって、今の私にはわからないから。

以前の私は、
「こうなったらどうしよう」
「そうならないために、こうしておこう」
「いまのうちに、できることをしておこう」
と先のことばかり考えて行動していた。

不安症になったときは
まさにこの心配がピークに達したときだった。

円形脱毛症になって
「このまま全部の髪が抜けてしまったらどうしよう」

教室の閉鎖が決まって
「次の仕事が見つからなかったらどうしよう」

不安症になって
「このまま一生治らなかったらどうしよう」

不安は不安を呼び悪循環にはまりこむ。

「娘が東京の大学に行ったら一人になる。
どうしよう」

不安症を患っているとき、娘は高校2年生で
進学先を地元の大学か東京の大学か迷っていた。

夫が単身赴任中なので娘が東京に行けば
私は一人になる。

不安症で、仕事もなくて、ひとりぼっちの私を想像して
「どうしよう」
「毎日どうやって暮らしたらいいんだろう」

想像しただけで不安で不安で苦しくなった。
同じような状況の友人に話を相談すると
「そのうち慣れるから大丈夫だよ」と言われる。

結局、誰も先のことなんてわからないんだ。

あれから3年がたち、
私は一人暮らしを楽しんでいる。
一人が一番!とさえ感じている。

状況はいろいろ変わる。
今は個人で英語教室をやっているし
円形脱毛症も不安症も治った。

当時なかったコロナも出てきた。

娘は大学1年目は自宅でオンライン授業を受け
昨年4月に東京に行き、現在大学2年生だ。

上京する時も、
私は寂しくて泣くんだろうな
なんて思っていたが、あっけなかった。

大学の寮まで送って行った帰り際
「がんばってね」と声をかけて手を握ったが
まったく涙は出なかった。

その後、一人の帰り道では
肩の荷がおりて
スキップしたい気持ちになった。

意外だった。
想像としていたのと全然違う。

起きてくることも
自分の感情も
まったく予想できないんだと思った。

だから、先のことは思い煩わず、
その時になったら考えよう。
その時の自分にまかせよう。