「本当の自分」とはどんな自分だろう。
「ありのままの自分」、「そのままの自分」ともいうのだろう。
私は長年「本当の自分」で生きてきたつもりだった。
だけど、それは私の作ってきた「自己イメージ」だったことがわかった。
「本当の自分」では人に受け容れてもらえない。
「本当の自分」では人と勝負できない。
人生の早い時期に信じ込み、生きてきた。
そのままの自分には価値がないからと
必死に外側に強力で見栄えのよい価値をたくさんくっつけてきた。
そして、それらは分厚い何層もの鎧となり、
内側の「本当の自分」がどこにあるのかも、
どういう自分なのかもわからなくなっていた。
でも、この鎧は自分を守ってくれるものだった。
これがあったから安心できたし、
達成できたことも多かった。
だから悪いものではない。
大切な役割を果たしてくれた。
だけど、こういう生き方をしていると、
とても生きづらいし必ず限界がくる。
「本当の自分」を生きていないということは、
一体私は誰の人生を生きているんだろう。
誰が私を生きるんだろう。
私が「本当の自分」を生きないなら、
私として生まれた意味がないのではないか。
自分がかわいそうで、
自分に申し訳ない気持ちになった。
私の場合、それに気づけたのは人生に強制終了がかかってやっとだった。
人生も後半、50歳になってからだったけれど、
間に合ってよかった。
死ぬ前でよかった。
それに気づくこと、認めることはとても難しい。
本気で自分に向き合わなくてはならないから。
でも、それができたら人生は劇的に変わっていく。
私は今、それを実感している。